がやがや2

----------  大人の秘密結社 『がやがや倶楽部』 WEB 版 ---------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

書評 『人でなしの恋』 江戸川乱歩

16.jpg江戸川乱歩の怪奇幻想小説には、不具者、精神異常者、変質者、変態的性倒錯者など、ありとあらゆる異形の人が出てきます。
数多くの作品が書かれ、その種の人から普通の人まで多くの人に読まれており、数多くのファンがいるようです。
そんな甲乙つけがたい数多くの乱歩作品の中で、私のイチオシは人形性愛の男を取り上げたこの作品なのです。

物語は、ある女性の回想で始まります。
当時19歳の彼女はお見合いをして、ある良家のイケメン御曹司に嫁入りします。
彼は青白く透き通るような美男子でしたが、家にこもりがちで女嫌いとの噂があり、そんな噂に彼女は多少の不安を感じていました。
しかし、一緒に生活してみると全然そんなことはなく、毎日やさしく彼女を気遣ってくれます。
いつも物思いに耽っているかのような、彼の憂鬱で寡黙な仕草と美しい容姿に、彼女はますます魅力を感じ、結婚しているにもかかわらず彼への想いが募っていきます。
しかし、半年ほどたった頃、彼女は彼の愛情が上辺だけのものであることに気付きます。
浮気の疑いを持った彼女は、彼が毎日読書をしている土蔵へ忍び込み、そこで別の女性と会話をしている彼の声を聞いてしまいます。
愕然とし、嫉妬に震える彼女。
彼一人が土蔵から出ていった後、浮気相手を見ようとその部屋に入ったのですが、不思議なことにそこには誰もいません。
あたりを物色していた彼女は、1つの大きな木箱を見つけます。
その箱を開けた彼女がそこで見たものは、まるで魂が籠っているかのように精巧にできた綺麗な人形でした。
自分の恋敵が人形と知って、かえって悔しさがこみ上げる彼女。
彼への言い様のない怒りと人形への嫉妬がこみ上げてきて、ついにはその人形を破壊してしまいます。
次の日、何も知らない彼はいつものように土蔵に向かったのですが、いつまでたっても戻ってきません。
悪い予感がする彼女。
急いで駆けつけた土蔵の中で彼女が見たものは、血の海の中で人形と抱き合ったまま息絶えている彼と、彼に抱かれて断末魔の不気味な笑いを浮かべている人形の姿でした。

この作品は彼女の視点から書かれているので、彼が実際どんな気持ちで人形と接していたかは想像するしかないのですが、私はその気持ちが何となく分かるのです。
『この口うるさくて面倒くさい妻が、何も言わない綺麗な人形だったらどんなに素晴らしいか』と思ったのは一度や二度じゃありません。

という訳でこの作品は、夫の趣味が妻には全く理解されず、命より大切にしている人形をあっさり妻に破壊されてしまうという、所帯持ちの男性にとってはとても悲しい身近な物語なのです。
ちょっと違うか。


テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

  1. 2011/08/26(金) 02:11:52|
  2. 書評
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
前のページ 次のページ

プロフィール

山女ひろし

Author:山女ひろし
札幌在住
自由人

カレンダー

07 | 2011/08 | 09
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。