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書評 『檸檬』 梶井基次郎

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得体のしれない不吉な塊に心を支配された主人公が、日常的に住み慣れた街並みに居ながら、いつもとは違った感覚を体験していく様が語られます。
何かに追い立てられるかのように街中をアテもなく練り歩く主人公。
果物屋で買ったレモンを片手に丸善に入り、本棚の本を次々と下ろして積み重ね、その上にレモンを乗せてそのまま丸善を出てしまいます。
そして想像するのです。
『10分後に自分が仕掛けたレモン爆弾が大爆発して、丸善がコッパミジンになったらどんなに面白いだろう…』と。

この本は表題作の『檸檬』を筆頭に20点ほどの短編を掲載していますが、ほとんどの作品がこんな調子です。
「桜の樹の下には死体が埋まっている!」という妄想をすることで、
ようやく不安から解消された男の心的描写を綴った『桜の樹の下には』。
崖の上に立って下を覗き込んだ時に湧きでてくる妄想を延々と綴った『ある崖上の感情』。
音楽会で、ピアノ演奏の鑑賞中に感じた視覚からの映像と聴覚からの音声のズレを
シュールな情景で書き綴った『器楽的幻視』。
などなど。

常に心を蝕む何らかの不安。
その不安から逃れるための超常識的な論理。
延々と歯止めの効かない妄想。
具体的な言葉で語られる幻覚。
正直この作者は精神が病んでいると思われます。
それもかなり重度です。
こんな状態でこれだけの小説を書き続けていたのは本当に驚きです。

私はこの本を読むまでは、梶井基次郎は単なる近代文学の人だと思っていました。
しかし、これは精神病理学や精神分析学などのもっと違う角度から大きく取り上げるべき作家であり、それに値する作品であると思われます。

私にとってこの本は、まさに『天下の奇書』であります。
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  1. 2011/08/13(土) 00:57:00|
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山女ひろし

Author:山女ひろし
札幌在住
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