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書評 『天使と宇宙船』 フレドリック・ブラウン

19.jpgこの本は、16編のSFとファンタジーの中短編を集めた作品集です。
私がこの本を読んだのは、30年ほど前の大学生の時です。
当時の私は、自分の中にある何らかの欠落を必死に埋めるかのように病的に本を読みあさっていて、興味を持ったものは純文学だろうがSFだろうが漫画だろうが、とにかく乱読していました。
そんな精神的に余裕のない状態の中で、私はフレドリック・ブラウンに出遭うのです。
ともすれば暗く悲惨な話になりがちなSF・ファンタジーの分野において、斬新な発想と明るくユーモアに満ち溢れた語り口やハッピーエンドな結末が、私の好みと絶妙にマッチしていて、それ以来私はフレドリック・ブラウンにハマってしまいました。

この本の中で私が一番好きな作品は 『ミミズ天使』 です。
印刷会社に勤務する主人公のチャーリーに、突然ある時から異変が起こり始めます。
天使の輪と白い羽が生えたミミズを目撃したり、雨の日に突然日射病にかかったり、博物館の古い貨幣の陳列ケースに鴨が出現したり、現実にはありえないことばかりです。
その後も自分の身に次々と起こる怪現象。
主人公はその怪現象の原因を推理していくのです。
その推理の果てに到達した、彼が出した結論は 『自分の運命を記録するためのタイプライターが故障し、誤植が生じている』 というものでした。
その後、その故障を逆手にとった主人公は天国へと訪問し、記録係の技師にこれまでの経過の報告とタイプライターの故障を指摘して、無事あるべき日常へと戻っていくのです。
まさに、印刷会社に勤務している主人公だからこそ出来る絶妙な推理。
日常的に、タイプライターや文字の校正作業などに関わっていないと出てこない発想です。

これを読んだ大学生の時は、この作品に対して 『面白い発想』 という感想しか持っていなかったように思います。
しかし、この本を新たに読み返した今の私には、それ以上に深く複雑な思いがよぎるのです。
なにせ私は大学を卒業後そんな業界に就職し、20年以上もこの主人公のように誤植に悩まされ続けていたのですから。

この本の中ではこの作品の他に、主人公が新聞社に務めていたり、意思を持ったライノタイプの話があったりと、出版・印刷に関する話が数多くあります。
こうして振り返ると、この本の出会いとその後の私の人生の奇妙な共通点が垣間見えて、なんとも不思議な縁を感じてしまうのです。


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テーマ:読んだ本の感想等 - ジャンル:小説・文学

  1. 2011/09/12(月) 15:18:07|
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山女ひろし

Author:山女ひろし
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