がやがや2

----------  大人の秘密結社 『がやがや倶楽部』 WEB 版 ---------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

書評 『異邦人』 アルベール・カミュ

23.jpg私がこの作品を読んだのは30年ほど前の大学生の時でした。
カフカの 『変身』 やサルトルの 『嘔吐』 などと一緒に、私が哲学や現代思想に熱をあげていた時期に読んでいたのです。
ご多分にもれず、私もいわゆるその種の人達が通る王道を通っていました。
哲学的な言説への憧憬と、シュールレアリズム、狂気、異端、マイノリティーといったものへの憧れが大きかった当時の私にとって、『異邦人』 の主人公ムルソーは、なんだかよくわからないけれど 「変な人」 という認識で、とても魅力的な人物に思えました。
「愛という言葉には意味が無い」 とか 「太陽が眩しかったから」 とか 「この世は不条理」 など、文章の一部を切り取って抽出し、友人と意味不明の会話ゴッコで悦に入っていたのを思い出します。

というわけで、この作品も30年ぶりに読み返してみました。
もう内容などすっかり忘れていて、全く何も覚えていません。
ストーリーも主人公や登場人物のキャラクターも、何もかもが新鮮でした。

「無表情、偏屈、物静かで抑揚のない喋り方、何を考えているのかわからない不気味な人」
私は今まで、主人公ムルソーのことをこういう人物像として捉えていましたが、読み返してみると全然違う人物なのです。
海水浴場で久し振りに出会った女性とそのままベッドイン、知人の人間関係でトラブルのあったアラビア人を射殺、キリスト教の教義を説く司祭に対して胸ぐらを掴み怒鳴り散らす。
主人公ムルソーは、行動的で情熱的で、熱いエネルギーを内に秘めたとても活き活きとした人物です。

自我を形成するための基礎となる物語を、神を中心とするキリスト教的世界観から物理学などの自然科学的世界観へと移行させ、既に神を信じていないにもかかわらずそのことに無自覚で、未だにキリスト教的な道徳や価値観を基準とした生活を惰性で続けている人たちの行動は、神を信じていないことを自覚している無神論者のムルソーにとっては、とても理不尽で不条理なものに違いありません。
そんなムルソーの言動は、まわりの人にとってはまるで異邦人であり、彼は殺人という罪を犯したためではなく異邦人であるという理由で陪審員の人たちから死刑を宣告されてしまうのです。
しかしそれはムルソーにとって、異邦人であるがゆえに自分に無関心だった世界の人々がとても身近に感じられた幸福な瞬間でもありました。

そんな理屈はさておき、それにしても、この本は難しいですね。
というか、文章がすんなり頭に入ってこないので、頭の中でなかなか映像化されません。
この文章はフランス語の翻訳だと思われますが、私は今回これを読むにあたり、これをラノベ風の文章に脳内で再翻訳して読みました。
そんな感じで読んでみれば、西洋的な価値観や哲学・思想的な背景を全く理解していなくても、この作品はとても面白いと思います。
特に主人公のムルソーは、キャラが立っていて非常に魅力的です。

ラノベ風 『異邦人』 自分で書いてみようかな・・・


スポンサーサイト
  1. 2011/09/28(水) 11:00:54|
  2. 書評
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:7

プロフィール

山女ひろし

Author:山女ひろし
札幌在住
自由人

カレンダー

08 | 2011/09 | 10
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。