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書評 『ライ麦畑でつかまえて』 J.D.サリンジャー

22.jpg私がこの作品を読んだのも、30年ほど前の大学生の時です。
その当時、一つ上の先輩が松田聖子の大ファンで、先輩の家に行くと必ず松田聖子の曲がかかっていました。
おかげで私は、ファンでもないのにすっかり松田聖子の曲を覚えてしまったほどです。
そんな先輩が 「この曲好きなんだよね」 と言って何回もリピートしていたのが、 『いちご畑でつかまえて』 でした。
『サリンジャー』 という名まえはおろか、 『全世界で一番読まれている青春小説の金字塔』 などという評判すら全く知らなかった私がこの本を手に取ったのは、書店で 『ライ麦畑でつかまえて』 というタイトルを見た瞬間に、頭の中で松田聖子が 『いちご畑でつかまえて』 を歌いだしたからなのです。
というわけで、この作品も30年ぶりに読み返しました。

成績不良により高校を退学になってしまう主人公のホールデン。
彼が退学になるのはこれで3校目。
ペシシルベニア州の高校で寮生活をしていた彼は、実家のあるニューヨークへと戻ることになるのですが、さすがにバツが悪く、退学になったことを両親に言えないため、学校からの通知が実家に届く2~3日の間ニューヨークの街中を彷徨するのです。
その間、ガールフレンドを呼び出してデートをしながらも悪態をついたり、次々と酒場をはしごしてナンパをしたり、ホテルに娼婦を呼んでトラブルにあったりします。
主人公ホールデンはツッパらかった暴力的な不良少年ではなく、将来の夢や目標を見いだせず、無気力で周囲の全てに批判的で、自分が何をしたらいいのかさえも分からずに常に心に不安を抱いている、少々病的な社会不適合な少年です。
そんな現代にありがちな、一種独特のやるせなさを心に秘めた少年の内面を赤裸々に綴った、まるで誰もが少年の頃の自分を思い出すかのような、そんな作品なのです。

ところで、再読するまで私が持っていたこの作品の記憶は、 『大人への成長過程で芽生える異性への関心と社会に対する不満を描き出した、ライ麦畑があるような田舎町での物語』 というものでした。
まったく、こんなにも内容を忘れてしまうものなのでしょうか。
これでは忘却どころか記憶の捏造です。
田舎町どころか、舞台は殆んど都会であるニューヨーク。
しかも、 『ニューアークからペンシルベニア・ステーションで降りて云々』 といったら、私が去年ニューヨークへ旅行した時のコースと一緒じゃないですか。
セントラルパークやブロードウエイやマジソン街などの地名が出て来ると、具体的な風景が思い出されて旅の記憶が甦ってきます。

そんなことはさておき、様々な出来事があった主人公ホールデンのニューヨークでの彷徨の物語ですが、最終章で、今まで書かれていたこの物語は主人公が病院 (たぶん精神病院) で語っている話しであることが明かされます。
私は、おそらくこの作品は、全てが主人公ホールデンの脳内で作成された妄想であるという設定なのではないかと思っています。
それまで語られてきた話が全て主人公の一人称であり、物事の捉え方がかなり病的に主観的で、全てが大げさに誇張された病的な表現であるということを考えると、まさに精神病患者の妄想にしか見えないのです。
最後の最後に、 『話に出てきた連中がいまここにいないのは寂しい』 ということが語られます。
おそらく快方に向かっているのでしょう。
今まで批判的だった登場人物たちを受け入れるかのような主人公の心の動きが見られるところで、この作品が締めくくられています。

この作品は10代のうちに、遅くても大学生のうちに読んでおいたほうがいいと思います。
若ければ若いほど、主人公の言動に共感できると思うのです。
今回再読してみたのですが、中学・高校の頃の痛い自分を思い出して、この主人公が単なるおバカにしか見えませんでした。
あー、恥ずかしい、恥ずかしい・・・



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  1. 2011/10/05(水) 15:35:08|
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Author:山女ひろし
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