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書評 『ゆかいな仏教』 橋爪大三郎×大澤真幸

20135070.jpg私が大学生だった1980年代、その頃世間では専門分野と一般分野の境界が徐々に曖昧になり、今までは専門家が研究し、彼らが専門用語でしか語り得なかった特殊な分野が、一般社会で軽薄にファッションのように語られだしました。
およそ一般向けではない哲学や現代思想の分野も例外ではなく、浅田彰の『逃走論』が「パラノ」「スキゾ」といった言葉とともに一躍時代の寵児となり、『唯幻論』『唯言論』『唯脳論』といった、世界を実体ではなく関係として認識した論説が、ジル・ドゥルーズといったフランスの思想家とともにファッション雑誌の特集記事に取り上げられるほど流行していたことは記憶にも新しいことでしょう。
そんな時代の流れにハマった方々にとっては仏教とは宗教ではなく哲学であり、現代思想が語っていることは2,000年近くも昔から仏教が語っていたということを知ることで、彼らは東洋哲学に対する一種の驚愕と羨望と憧憬の念をその当時からずっと抱き続けているのかもしれません。
もちろん私もそんな中の一人でした。

普段の日常会話に仏教用語や仏教的な考え方が浸透しているにもかかわらず、日本人にとって仏教は葬式や墓参りくらいでしか繋がりがないので、改めて「仏教とは何ぞや」と問われてもほとんど答えることができないように思います。
本書は、『不思議なキリスト教』で対談した橋爪&大澤両氏が、キリスト教の時と同じく、ブッダと仏教の始まりから原始仏教の考え方、小乗仏教から大乗仏教への思想的な流れなどを、日常的に接していて知っているけど知らない仏教を、一般の人にも判り易くやさしく解説した本です。

宗教としての仏教をキリスト教と比較して論じている部分も大変わかりやすく、仏教とキリスト教との考え方のベクトルの違いが明確になっていて、それが西洋思想と東洋思想の違いへと繋がっているのが理解できます。
また、1970年代から時代の潮流を席巻した、実存主義から構造主義を経てポスト構造主義に至る「実態から差異へ」「実態から関係へ」といったデリダやドゥルーズの西洋哲学の概念と、2,000年近く前のナーガールジュナ(龍樹)の「空」や「縁起」の議論との比較は、それぞれの共通性と異質性が明確にされていて、私が今まで漠然と感じていた仏教と現代思想の類似をより一層詳しく認識することができました。
仏教に対して、宗教的なことよりも哲学・思想的なことを求める方にはとてもお薦めの1冊です。

ところで、最近の私の読書傾向は、常に何らかの形で1980年代と関連しています。
今の自分をかたち創る原点となった80年代を総括することで、無意識のうちに、自分の人生の幕引きをしようとしているような気がしてなりません。




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  1. 2013/11/24(日) 16:40:48|
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