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書評 『力道山の真実』 木下英治

Scan201503280001.jpg前回、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』を読み、今まで持っていた木村政彦と力道山に関する間違った先入観が改められました。
そして新たに、力道山に対する興味がガゼン湧いてきたのでした。
という訳で、本書も読んで、多角的にあの時代のことを調べることにしました。

プロレスの世界では伝説の人物として、プロレス的な言説で語られる存在の力道山ですが、本書は、プロレスとは全く関係のないノンフィクションライターである著者が書いているだけあって、プロレス的なお約束や暗黙のルールにのっとった記述は全くありません。

現在の北朝鮮に生まれ、相撲で関脇まで上り詰め、相撲を廃業後、当時日本では誰も知らなかったプロレスという『興行』を日本に導入した立役者である力道山。
興行という性質上、日本の裏社会とのつながりを持たざるを得なかった経緯と、当時の社会情勢から自分の出身を隠さざるを得なかった苦悩と周りの全ての人間に対する不信感、その結果生じるカネに対する執着と意地汚さ。
本書では力道山は全く良いところがありません。
周りの人間で、力道山のことを良く言う人間は皆無。
筋を通すことが第一の裏社会の人間から見れば、力道山は自分勝手で傲慢で無茶を言う最低の人間に見えるのかもしれません。

木村政彦との対戦の経緯も詳しく語られていて、その内容は『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』とほとんど違いはありません。
あくまでもプロレスと割り切っていた木村に対して、話に乗ったと思わせて油断しているところを本気で潰しに行った力道山。
かなりドラマ仕立てで書かれていますが、やっぱり最低の人間として書かれています。

今まで、力道山に関する知識は、プロレスマスコミが作りだした伝説のヒーロー像しか知らなかったので、その違いに唖然としてしまいます。
その真実の姿はともかく、死して伝説となった力道山は、ヤク中のクズ人間なのに死して伝説となったシド・ビシャスのようです。

そんな人間性の力道山ですが、日本にプロレスを根付かせ、それから派生する形でUWFやK1やプライド、リングスにパンクラスなど日本が格闘技王国となったのは、力道山という先駆者がいたからであって、その業績は真実であるのは間違いのない話です。

それにしても、この時代に生きてお互いに関係のあった柔道家木村政彦、プロレスラー力道山、空手家大山倍達。
やっぱり次は大山倍達伝を読むしかありませんね。
『空手バカ一代』みたいな伝説の啓蒙書ではなく、できればノンフィクション物で。





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  1. 2015/03/30(月) 01:41:40|
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