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書評 『お昼寝宮 お散歩宮』 谷山浩子

27.jpg独特でメルヘンチックな歌詞と包みこむような歌声で、聴く人を一瞬にしてシュールリアリスティックでファンタジーな世界へといざなう、シンガーソングライター谷山浩子。
この本は、そんな谷山浩子が1988年に書いた童話です。
巧みな文章表現で次々と繰り広げられる独特な不思議世界は、まるでパステル調の幻想絵画を見ているかのようで、まさに谷山浩子ワールド全開の作品です。

好きな男の子サカモトくんから本を借りたのに、あまりのつまらなさに全く読み進めることが出来ず悪戦苦闘しているユメコ。
読書に苦しむそんなユメコのもとに不思議な少年が現れます。
何も言わずに去って行く少年。
ネムコは彼の後を追って真夜中の公園へと足を踏み入れますが、彼はジャングルジムで突然消えてしまいます。
彼と同じやり方でジャングルジムをくぐるユメコが着いた先は、世界のありとあらゆる時間が集まっている場所 『時間盆地』 でした。
そんな世界に突如現れた赤マントの怪人トトポ。
トトポは、少年が住む 『お散歩宮』 を盗み、昼寝の世界へと逃亡してしまいます。
怪人トトポの正体は自分が読んでいた本の擬人化であることに気がついたネムコは、 『お散歩宮』 を取り戻すため、時間盆地の住人ソブと一緒に夢の世界へと旅立っていくのでした。
その後、次々と自分の夢の世界に入っていくのですが、トポトポやトポポといった似たような名まえの人物しか見つけられず、その度にさらに夢の奥へと入って行きます。
夢の夢のまた夢の、そのまた夢の、夢の夢。
それぞれの夢の中で不思議体験を繰り返し、最下層まで降りて行った末にようやく盗まれたお昼寝宮と少年を発見したユメコは、川の流れにそって夢を遡り時間盆地へと戻っていきます。
夜の公園のジャングルジムでひとり佇み、今までの不思議な体験を振り返るユメコ。
借りた本を期日通りに返却することだけに囚われ、読書を楽しむことを忘れて時間を無駄にしていたことに気づいた彼女は、サカモトくんに時間をもらってもっとゆっくり読みなおそうと決心するのでした。

この作品は、童話というより SF とかファンタジー小説なような感じなのですが、詩人である谷山浩子の文章を読んでいると、頭の中には映画のような映像ではなくパステルで描かれた西洋風の絵画が浮かんでくるのです。
もちろん、頭の中に流れる BGM は谷山浩子の曲です。

より深い階層の夢の中に入っていくという設定は、昨年公開されたデカプリオと渡辺謙の映画 『インセプション』 でも使われていますが、この本のように当たり前のように淡々と語られると、かえって不思議さが増してきます。
どんなに荒唐無稽なことでも、夢の中ではそれが当たり前のこととして対応している自分を思い出してしまうからでしょうか。

次々と繰り広げられる場面転換とシュールリアリスティックな情景は、まるで万華鏡を見ているかのようで、夢が好きで谷山浩子の世界が好きな私にとっては、この作品はまさに珠玉の1冊なのです。


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  1. 2011/10/26(水) 12:33:57|
  2. 書評
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

素敵なおはなしですね。読んだことはありません。軽く安部公房っぽいかんじが伺えます。
ところで、北杜夫氏をあっかってもらえませんか?
私もトーマス・マンをやっていたのでどちらでもいいのですが・・・・・・・・
  1. URL |
  2. 2011/10/26(水) 15:31:36 |
  3. リリー・スー #-
  4. [ 編集 ]

残念

毎度コメントありがとうございます。
うーん残念、北杜夫もトーマス・マンも読んだことないのですよ。
今まで私のアンテナに引っかかってこなかったということは、私の抱える問題とは接点がない作家ということですね。
今後何かの拍子に興味を持ち、とことん読み込むようなことがあれば、その時はここで取り上げるようにしますよ。
  1. URL |
  2. 2011/10/27(木) 00:51:57 |
  3. ヤマメ #m3ZOdJy6
  4. [ 編集 ]

谷山浩子って聞いただけで、「カントリーガール 君の眼の中で夕焼けが燃える」って歌声が(中年の)男心に響いてくるね。
あと、さらに古いけど太田裕美の「木綿のハンカチーフ」も、けなげでいじらしくて、男泣かせの曲だったけどさ。
さて、そーかい。小説も書いていたのだな。知らなんだ。
それも夢のまた夢って感じなんだ。なるほど。
ショーペンハウエルは「夢においては、だれもが自分自身のシェークスピアである」といったそうだが、この話はほんわかとしながら随分と入り組んで展開していくんだね。
そうか。ヤマメが言及してたけど、「万華鏡」ってのが、谷山浩子を象徴するひとつのキーワードなんだな。
  1. URL |
  2. 2011/10/27(木) 13:45:15 |
  3. 藤伸一 #-
  4. [ 編集 ]

コンサート行きます

毎度どうも。
ピストルズを聴きながら谷山浩子を語る感じになっております・・・。
来月札幌に谷山浩子が来るので、28年ぶりにコンサート行ってみます。
私の頭の中では、谷山浩子は27歳のままで止まっているんですよね~。
なんか同窓会に行く気分ですよ。
  1. URL |
  2. 2011/10/27(木) 15:30:49 |
  3. ヤマメ #m3ZOdJy6
  4. [ 編集 ]

しかしヤマメはいろいろと止まったままのものがあるな。
それでコンサートね。
そんな止まったままのおじさんたちが集うのだろうね。
そして、えも言われぬ親近感、一体感が会場を覆うのだろうな。いいねー。
でもソロだと解散がないからこんな時は有利だよな。
しっかり「青春の後ろ姿」を見つけてきてください。

  1. URL |
  2. 2011/10/27(木) 16:34:36 |
  3. 藤伸一 #-
  4. [ 編集 ]

ユーミン

そうですね。
しっかりと、「あの頃の自分に戻って」きますよ。
  1. URL |
  2. 2011/10/27(木) 17:02:26 |
  3. ヤマメ #-
  4. [ 編集 ]

う~ん、自分ならこの作品に魅力を感じるかな。サカモトくんから本を借りたユメコの気分になるかも。
ここはリクエストありなの?
もしありなら吉行淳之介とか・・・まあヤマメさんの抱える問題と接点はないか。
次は阿刀田高あたりかな・・・
いや、自由にやってください。
  1. URL |
  2. 2011/10/27(木) 17:45:35 |
  3. クマコー #-
  4. [ 編集 ]

リクエスト

いつもどうも。
リクエストはちょっとね・・・
まあ、リクエストに応えるっていうのは、学校の読書感想文と同じですな。
興味のない本の感想を無理に読み、先生(日教組)受けするために、それまで真剣に考えたこともない反戦反核を絶対的正義のように声高に書き綴るという私の中学時代みたいな行為は、クマさんが最も嫌うことでしょうからね。
まあ、自由にやらせてくださいな。
  1. URL |
  2. 2011/10/27(木) 18:17:53 |
  3. ヤマメ #m3ZOdJy6
  4. [ 編集 ]

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