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書評 『戻る男』 山本甲士

modoruotoko.jpg『もし、過去に戻ってやり直せるとしたら、いつに戻りたいですか?』ということを、たまに真面目に考えてみたりします。
もう一度同じ経験を繰り返すなら中学2年生でしょうか。
人生で一番楽しかった時期です。
もしかしたら、その時期が私の人生のピークだったのかもしれません。
二股に分かれたもう一方の道を選択し直すことができるなら、高校2年でしょうか。
この時の選択が、直接今の自分に繋がっているように思います。
もし、もう一方の道を選択していたら、今、自分は生きていなかったかもしれません。
でもそれはそれで、波乱万丈で悔いのない充実した人生だったのではないかと想像してしまうのです。
そんな私の空想を実現させたのがこの小説です。

ある日、一発屋の中年作家の元にタイムスリップ体験の案内状が届きます。
たぶん詐欺であろうとは思いつつも、タイムスリップ物を書いている作家としての興味や、詐欺の体験を新たなネタにできるかもと思い、この案内に申し込みをするのです。
実はこの作家、中学時代のイジメ体験や大学時代の失恋体験などの過去があり、それをやり直したいという思いを持っていたのでした。
最初のタイムスリップで中学時代のいじめっ子に逆襲し、みごと過去を変えることに成功した彼は、2回目、3回目と料金が大幅に吊り上っていくにもかかわらずタイムスリップを繰り返していくのです。
この体験を作品として発表するために、同じタイムスリップ体験をした人、中学時代の同級生や担任の先生、別れた彼女や離れ離れで暮らしている父親などに会い、皆の記憶を検証していった彼は、このタイムスリップのカラクリに気付くのです。
それと同時に、今まで自分の中でわだかまりのあった人間関係の新たな面を発見し、スランプで燻っていた自分をリセットすることになったのでした。

読んでいる途中でこのタイムスリップの真相が判ってしまうのですが、奇想天外などんでん返しなど全くなくても、登場人物全てがハッピーエンドを迎えるのでホッとしてしまいました。

この作者は私と同年代なのですが、中学時代や大学時代のその時代の雰囲気がうまく行間から醸し出されていて、同じ時代を同じ年齢で生きている者しか感じられない微妙なニュアンスが溢れています。
そんなわけで、自分の中学・高校時代を振り返り、『あの時、ああしていれば・・・』と思わず想い起こしてしまう、そんな感じのほのぼのした作品なのです。



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  1. 2015/01/17(土) 12:47:37|
  2. 書評
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

作家名は知っているけど、読んでません。
私のピークは中学3年かな。
恋心をそれなりに抱き始めた頃で、もちろん失恋も泥沼も知らず、「浅くのみ春はかすみて、麦の色わずかに青し」って早春な感じ。
さて、最近テレビで「流星ワゴン」やってるけど、重松清も同世代だよね。
このタイムスリップしたい感はもちろん、タイムスリップの言葉が持つ魅惑、語感も、同世代似たような認識ではないだろうか。
小説家はそんな具合に脚色し、物語を展開していくけど、私たちの日常においても、例えば往年のヒット曲を聴いてジワッときたり、ある匂いで漠然とした古い過去の情感が彷彿してきたりと、自分の時空がかすかに揺らぐ時があるよね。
「懐かしい」と言葉にすればそれまでだし、たしかにそんな揺らぎでこの現実がどうこうなるものではないけど、私にとって、それはそれで「生の実感」のように感じるな。
逆説的だけど、きっと、死の間際に浮かぶ走馬灯は、この時空の揺らぎがモロ顕在化したものではなかろうか。
だとしたら、果たしてその時、自分は真っ先にどの時空に飛んでいくのだろうかってね。
ドピューンと、やっぱりピークの中3だったら、ある意味「あたり」だけど、あまりにあたりまえ過ぎて、自分の人生ながら面白みに欠ける気が、なんだかする。
  1. URL |
  2. 2015/02/13(金) 15:56:32 |
  3. 藤 伸一 #-
  4. [ 編集 ]

悔恨の念が時間という概念を作ったと言われていますよね。
つまり、自我の成立と時間の成立は同時なわけで、その時に「過去」も「歴史」も同時に成立したわけで、物理的には過去へのタイムスリップは出来ませんが、いつでも過去に行けるということでもあります。
過去を変えるということは極めて個人的な作業ですから、過去を変えてしまった人は精神分裂病と診断されたりするのでしょうか。

それにしても、同世代の人には、同世代の人たちに共通する時代の雰囲気がありますよね。
世代の違う人と同席すると、同じ空間にいるのに生きてる時代が違うという妙な感覚がありますよ。

  1. URL |
  2. 2015/02/14(土) 09:06:58 |
  3. ヤマメ #TjgxSfIA
  4. [ 編集 ]

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