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書評 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』 増田俊也

Scan201503210001.jpg今ではほとんどテレビではやらなくなりましたが、10年くらい前、まだ格闘技の番組が全盛だった頃、私も格闘家たちの勝敗の行方に一喜一憂していました。
格闘技は大まかに分けると、立ち技系と寝技系に分かれますが、私は断然寝技系が好きで、あの緊張感漂うグランドでの攻防は、見ているこちらも思わず息を止めて拳を握りしめてしまうのでした。
特に好きだったのは吉田秀彦で、「ストリートファイトになったら柔道が一番強いシステムかもしれない」と、彼の格闘する姿を見て思ったものでした。

80年代の初頭に、アントニオ猪木が率いる新日本プロレスが牽引する形でプロレスブームがあり、当時大学生だった私は、かなりプロレスにのめり込みました。
力道山が死んだのは私が生まれた頃のことですので、力道山も木村政彦もリアルタイムで見たことはないのですが、当時出版されていた『日本のプロレス30年史』の中で柔道出身の木村政彦と相撲出身の力道山の世紀の対決みたいな記事を読んだことがあり、知識としては断片的に知ってはいました。
しかしそれは、スポーツライターがプロレスの立場から、プロレス的な言説で、プロレス的に書かれた記事であり、これがいかに人々に間違った先入観を植え付けていたかを本書を読んではっきりと知ることになるのでした。

本書は、木村政彦の出生から亡くなるまでを綴った伝記であると同時に、日本における柔道・柔術の歴史書にもなっています。
本書を読むまで柔道についてあまり深く掘り下げたことはないのですが、今私たちが見る柔道、オリンピックで行われている柔道というのは、『講道館柔道』という一つの流派だということが判りました。
木村政彦の学生時代の鍛練方法や、戦前の全日本選手権での輝かしい成績、プロ柔道の立ち上げと失敗、ハワイやブラジルの海外遠征での評価、そして、講道館柔道との関わりや大山倍達との関わり、力道山が立ち上げたプロレスとの関わり。
著者は柔道家ということもあり、不当に木村政彦と柔道の評判を落とすことになった、あの伝説の力道山対木村政彦のプロレス対決については、その間違った評判を覆そうという著者の執念を感じてしまいます。

木村政彦は日本史上最強の柔道家であり、おそらくヒョードルと総合ルールで闘っても秒殺で勝つだろうと思わせるのは、著者の表現力のせいではなく、資料をもとに数値的にはじき出した科学的な結論であるように思えます。
そして、そんな木村政彦が力道山に負けたのは、プロレスは格闘技ではなくエンターテインメントだからであって、木村政彦の評判を汚いやり口で不当に貶めた力道山は、到底許すことができないという論理なのでしょうか。

本書は上下巻合わせて1200ページ近くにもなる超大作で、著者の木村政彦と柔道に対する愛情に満ち溢れていて、不当に貶められていた木村政彦を人々に再評価してもらいたいという思いが十分に伝わる1冊です。
少ななくとも私は、木村政彦の強さと人間性の良さ、そして『柔道は最強の格闘技である』という確信を、本書を読んで持ちました。
そんな感じで、格闘技ファンには是非読んでもらいたい必見の1冊なのです。




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  1. 2015/03/23(月) 00:55:21|
  2. 書評
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

さすがプロレス好きの格闘技好き、1200ページもなんのその、行間からヤマメの熱い吐息がもれ聞こえるようです。
木村政彦って、そんなに強かったんだ。
私も、剣豪ものなどを読んだり調べたりしてたら、もうグイグイと魅せられて、剣豪がだんだん伝説化したり人間離れしてしまっても、手放しの絶賛モードで、そのまんま肯定納得してしまい、なんとなく困ったりするのだけど、なんだろうね、男性特有の、この強い者に対する無条件の憧憬は。
しかし、上下巻の1200ページかぁ。
  1. URL |
  2. 2015/03/23(月) 17:42:33 |
  3. 藤 伸一 #-
  4. [ 編集 ]

私も、この本を読むまでは、木村政彦がこんなに強いとは知りませんでした。
それはやっぱり、その経過はどうあれ、力道山に負けたという事実と、『力道山』という伝説が独り歩きした結果だと思われますね。

それにしても、この本のタイトルの付け方は見事ですね。
たぶん『木村政彦伝』とか、『不世出の柔道家・木村政彦』などというタイトルの付け方だと、知らない人が多くてほとんど注目されなかったでしょうからね。
伝説の『力道山』という文字が入ることによって、柔道には興味なくてもプロレスに興味ある人は注目してしまいますな。

でも、読んでいると本当に面白くて、1200ページなんてあっという間でしたよ。
  1. URL |
  2. 2015/03/23(月) 21:45:44 |
  3. ヤマメ #-
  4. [ 編集 ]

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